A part of tea set
Royal Worcester. 1876. (A creamer and a lid of sugar )
Unknown maker ( A teapot ):Possibly Coalport
Painter: possibly B C Harbutt ( Later decoration outside of the factory)
Monogram: SAB
Mark: a cross and v
`H 757‘
A teapot H.9.5cm, A creamer H.8cm, A lid of sugar D.7cm
草花の上を天使が飛び回り蝶を追っている。3点とも同じモチーフで描かれており、同じ絵付師の作品と思われる。
クリーマーとシュガーポットの蓋には、1876年製のウースターの窯印が入っている。ティーポットは白磁の素地が異なっており、ウースターのマークもなく、ウースター以外のメーカーのモノと考えられる。
従ってこれらは、白磁を購入した後、外部で装飾された作品と考えられる。
実は19世紀に、この様な事業を広げていたのは、Howell & James Co.である。元々ロンドンのリージェントストリートにお店を構える宝石商であり、銀細工工房でもあり、1819年より1911年まで操業していた。
1876年からはプロのアート・ポタリーや、陶磁器にアマチュアの絵付師が装飾した作品を集めて展示するギャラリーを併設したが、これが大きな反響を呼ぶ事となり、間もなくロンドンの主要会場で展示会が開催される様になった。主にNational art training school(通称サウス・ケンジントンスクール)のデザイナーや学生の作品が販売された。
ヘンリー・サンドン氏の著書のRoyal Worster Porcelain(P4)でも、この会社について触れられており、公式にウースター社などから白磁が提供され、そこに装飾を施して販売した。リージェントストリートの店舗の上には、一時期には、140人もの女子学生が暮らしていた。
今回のTea setは、ウースターの1876年製のモノが使われており、これらの白磁は、この時期にこう言った事業の為にウースター社が製作した物と考えられる。
絵付師のサインはHarbuttとあるが、この時代で検索すると、William Harbuttと言う名前が挙がって来る。
彼は1844年生まれで、1869年から1874年までロンドンのサウスケンジントンにある、National art training school(現Royal college of art)で、建築物の製図などを学んで指導資格を取得した。1874年からThe school of art in Bathの校長を務めたが、何らかの争議の為に1877年に退職している。
妻のElizabeth はミニチュア・ペインターで、3人の娘の内、二人目の娘の名前がBeryl Cambridge Harbuttで、この作品のサインと符合する。
モノグラムのSAB は、The school of art in Bathに符合する。
一家はバースに居住しており、この作品は、彼女がThe school of art in Bathに所属し、H & J社に作品を提供したもので、H757は、同社の識別番号とも考えられる。
但し、Berylは1881年生まれで、白磁の製作年よりも若い。1901年でやっと二十歳に成る。この場合、白磁のかなり後で絵付けがされたことになる。
この時代では、まだ女性芸術家の評価は低かったが、ロンドンでは1843年にThe female school of designが設立され、それは1859年にサウスケンジントンにNational art training schoolに併設する形で移転した。
H & J社は、主に女性絵付師の作品をフィーチャーし、展示会を開催したものと考えられるが、当時としては、非常に斬新な企画であったと考えられる。
この作品では、全体の構図のぎこちなさや、焼成時のPepperingなどが見られるものの、天使の絵付けのレベルはハイレベルである。