Frankenthal(1755-1799)
um 1762-1765
Große runde Platte mit Flechtrelief und Rosenbouquet
薔薇のブーケと三つ編みレリーフの、大きな円形皿
Durchmesser : 31.8cm Höhe : 5.0cm
Marke : CT mit Kurhut und Ni und 2 in unterglasur blau
釉下彩の青で、選帝侯冠にCTとNiと2
Preßmarke : i / o
中央にドイツの野花を描き、ボーダーには三つ編み上の装飾が施されている。
このようなボーダーの装飾のオリジナルは、マイセン窯の1730年代の作品に見られるアルトオツィールムスター(Alt-Oziermuster)である。またそのボーダーに3箇所花絵が配置されているが、この様な装飾様式は、中国や日本の東洋の磁器の装飾を模倣している。古伊万里のお皿等に、裏面の辺縁装飾に3箇所の花絵が入れられていることは少なく無い。しかも見込みの花絵は左右非対称であり、柿右衛門様式を思わせるブランクも広く設けられている。しかもよく見ると、口錆(縁紅)まで入れられている。
つまりこれは17世紀にヨーロッパに流入した東洋の磁器、とりわけ柿右衛門様式のお皿の影響を受けている。
しかしこう言うと多くの日本人は首を傾げてしまうだろう。「どこからどう見ても、柿右衛門には見えない。」と感じる事だろう。
また「やっぱり真似しても駄目だね。」と、言われてしまうかも知れません。
でも逆に17世紀を生きるドイツの人に、このお皿が伝統的なドイツの装飾であるかともし尋ねると、どうでしょうか?
おそらく「全く違う装飾様式である。」と答えるのではないでしょうか?
もしその人が柿右衛門磁器を買える様な高貴な人であれば、「柿右衛門みたいですね。」と、答えるかもしれません。
このお皿を見るだけで、東西交流は常に新しいモノを生み出し、アール・ヌーボーの萌芽は、もうこの時代に既に始まっているのだと思わずにはいられない。
フランスではこのような装飾を施したファイアンスのお皿が、アルザス・ロレーヌ地方や、マルセイユなどで、この時代に盛んに制作されている。
この窯はドイツのファルツの窯ではあるが、創業者は、フランスのアルザス地方のストラスブール窯を創業したアノン・ファミリーである。