Frankenthal(1755-1799)                 back
 
um 1759-1762
 
Figur / Schnitter
   刈るヒト
Modelliert von Johann Wilhelm Lanz
   原型師:ヨハン・ヴィルヘルム・ランツ
Höhe : 14cm                        
 
Marke : Steigender Löwe und JAH-Monogramm in unterglasur blau
                 釉下彩の青で飛びかかるライオンとJAHのモングラム
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
このフィギュアは、1748年よりストラスブール窯でポウル・アノンの下で原型師をしていたヨハン・ヴィルヘルム・ランツの作品である。
彼は1755年にポウル・アノンらとともにフランケンタール窯に移り、1755年より1761年まで原型師主任を務めた。
ストラスブール時代は比較的暗いイメージの作品の多かったランツだが、フランケンタール窯に移ってからは作風が変わり、明るい作品が多くなった。
この作品も、ロカイユ装飾を施した台座の上に、木の幹を背に立っている、大鎌を持って草を刈る農夫を表したフィギュアだが、両手で持っているはずの鎌は失われている。腰のベルトにはサヤが付けられている。
顔は頬がふっくらした典型的なランツの作品とは違ってはいるが、頚にスカーフを巻く農夫からは、幾らか気品が感じられる。
 
台座の裏には、釉薬の下に描かれた、飛びかかるライオンと、ジョセフ・アダム・アノンのイニシャルJAHがモノグラムで入れられている。このモデルは、ポウル・アノンがフランケンタールからストラスブールに帰還する前にも制作されており、その場合はイニシャルのPHがスタンプされている。従ってその場合の制作年代は1755年より1759年までの間という事になる。
 
この様な磁器のフィギュアは、デザート様のテーブルのセンターピースとして置かれたり、マントルピースの上に飾られる事を目的として制作された。
この農夫の作品は、確かに大鎌を持った農夫の姿だろうと思われるが、その服装や気品から言って、何か違和感を感じる。
これらの作品は、おそらく農夫自体を表現したものでは無く、農夫の役を演じる宮廷人を表現したものと思われる。
中世からルネサンス期に入り、宮廷ではいろいろな催しが執り行われた。
演劇もその一つであるが、当初は宮廷の大広間などに劇場が急造された。宮廷人が出演することもあった。やがて宮廷の外に劇場は特設されて行くことになるが、そもそもは宮廷内にあったものである。
したがって晩餐会のデザートのテーブルに置かれるこの作品のようなフィギュアは、この後宮廷内で執り行われる演劇の登場人物を表していたものと思われる。
その為に農夫の姿をしながらも、服装や髪型、帽子などは、農夫らしく無いものとなっている。