トゥルネ(Tournai)窯は、 現在はベルギーの代表的な窯 であるが、オランダ名ではドールニック(Doornik)窯とも呼ばれる。創業当時はフランス領に有り、そう言う意味では18世紀のフランス、しかも軟質窯の一つと考えられる。
フランス軟質窯は第1期をサン・クルー窯(St.Cloud)、シャンティーイ窯(Chqntilly)、ヴァンセンヌ窯(Vincenne)、メヌシー窯(Mennecy)とすると、セーブル窯の芸術的影響下にある第2期はソウ窯(Sceaux )、クレピー窯(Crépy)、アラス窯(Arras)、オルレアン窯(Orléans)、ルネヴィル窯(Lunéville )、等であり、このトゥルネ窯も、第2期の窯の一つに挙げられる。
(ニーダーヴィレ窯(Niderville)は当時ロレーヌ公国であった。)
1751年、フランソワ・ジョゼフ・ペテランク(François-Joseph Peterinck )が、マリア・テレジア女帝の支援と、市民の投資を受けて軟質磁器窯を設立させた。
アルカニスト(Arcanist)は、シャンティーイ窯(Chantilly)(1725−38)、
ヴァンセンヌ窯(Vincennes)(1738ー41)と渡り歩いたロベール.デュボワ(Robert Dubois)が、1753年から就任した。
ソリデュ・モリアミ(Soil de Moriamé )がTournaiの操業を4期に分類している。
   ❶1751-56/ Grey Paste, マイセン風 多色の花 と鳥の絵
      ❷1756-62/ Yellow Paste, ストラスブール風の花とシノワズリ                      
   ❸1762-81/ 最盛期、セーブル風 Paste, 多様な装飾様式、豪華な金彩、セーブル  
    やイギリス風の鳥の絵:絵付け師アンリ・ジョゼフ・デュヴィヴィエ
     (Henri-Joseph Duvivier)
            ❹1781-99/ 3期の継続、鳥の絵:絵付け師ジャン・ギラン・ジョゼフ・マイエ   
    (Jean-Ghislain Joseph Mayer)
                Buffon’s Natural History(1787年) のイラストを元にした絵付けも行われた。
1796年、父親から経営を引き継いだ息子のC.Peterinck-Gerardが、1800年に経営を諦め、ベティニー家(Bettignies Family)に売却した。
オーナーとなったベティニー家は、陶器工場に転換し、その後1850年まで存続した。
Tournai(1751-Present)(蘭 Doornik)
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