ファンパターンとは、1700−1730年頃に制作された、古伊万里様式の染め錦、菊花文を模した装飾である。しかしウースター窯のこのパターンは、マイセンの古伊万里写しを模倣したものである。この ‘Fan’ Patternは、’Old Mozaic’ Patternとともに、主にティー・チョコレート・デザートサーヴィスでのみ認められ、ディナーサーヴィスでは存在しない。
1769年12月のウースターのセールカタログでは、’Old Japan Fan Pattern’と書かれているが、確かに1760年代では、古い古伊万里のパターンを写したモノという表現は妥当である。この時代では古伊万里のオリジナルは中古でしか手に入らなかった筈である。
このパターンでは、狐の絵の入った大型のティーポット型のポットが存在するが、狩猟の際に飲み交わす、パンチ用のポットと考えられている。
また用途不明のボウルが存在するが、大型のものはパンチボウルで、小型のものはスロップボウルではないかと考えられる。
このファンパターンは、ダービー窯、コールポート窯でも制作されているが、特にコールポート窯では、ウースターでよく使われるクレセントに似たCのマークが染付けで入る為、ウースター製として売られている事があるので注意が必要である。
 
当ギャラリーのコレクションの一つの動機は、出光美術館の素晴らしいウースター窯のファンパターンのセットの再現であったが、1996年より20年以上経っているが、未だにコーヒーポットとシュガーポットが欠員となっている。
 
Worcester(1751-Present)                                                                             back
 
 
Fan Pattern Tea & Dessert Service(1768-1775)
 
Composed with  3 tea cups & saucers,1 coffee cup & saucer,1 demitasse cup,
                              1 chocolate cup & saucer,3 medium plates,
                              1 lozenge shaped plate,1 kidney shaped plate,1 teapot,
                              1 creamer,1 slop bowl,1 punch bowl, and 1 tea canister.
 
 
Mark:  All pieces have a mock oriental mark in underglazed blue.