Arita 有田(1610年頃ー現在)
後期鍋島窯染付蒲公英文八角皿( 1736−1871年代/元文ー明治年間)
直径:9.0cm、 銘無し
この小皿は後期鍋島窯の青磁染付けの作品である。
一般に青磁染付けの作品は、染付け部分の青磁釉をマスキングしてその部分のみ透明釉を掛けて焼成される事が多い。
しかし数は少ないが、この作品の様に、青磁釉の下に染め付け装飾が施されている作品も見られる。
「通観 鍋島青磁」神村英二 小木一良(編集協力)にこの技法について詳しく述べられている。この本の中で小木一良氏の資料が転載されており、青磁染付けの後者のような青磁釉下の染付け作品の断面の写真が載せられている。
素地の上に染め付け装飾が為されるのではなく、先ず3層に渡って青磁釉が塗り重ねられ、その上に染め付け装飾が施される。
そして更に6層くらい塗り重ねられて焼成される。
即ち、染付け装飾は、青磁釉にサンドウィッチされる様に存在している事になる。
そう言う意味では、釉下彩ではなく、釉中彩に近いかもしれない。
実はこの本の中に、恐らくこの小皿と揃いの小皿が掲載されている。
この作品は東郷神社の蚤の市で、1998年に購入したものであるが、そのお店では2枚売られていた。私はその1枚を購入した訳だが、もしかすると残りの1枚を神村氏が購入されたのかもしれない。