染付西洋風景文変形皿（1680-1700頃／元禄ー宝永年間）
直径：12.5 × 11.0 cm 銘:：「大明清化年製」
染付けで周囲を縁取り、その中に西洋風の港と船の絵が描かれている。
まるで葉っぱのような形状のこの変形皿は、オランダ市場向けに制作された古伊万里の作品である。
この様な変形皿は、轆轤ではなく、素地の固まりを糸や紐で板状に切り、上から型を被せて成形する、糸切り成形で制作されている。
糸切り成形の場合い、轆轤型打ち成形と違って、殆どの場合付け高台で、変形高台である事が多い。この作品でも、ハート形の様な高台がとてもユニークである。
更に興味深いのは銘である。「大明清化年製」とある。多くの古伊万里作品では、明朝の「成化帝」時代の作品銘を真似て「大明成化年製」と入れる事が通常である。
この様な銘が中国製の作品に入れられる事は考えにくく、日本の職人による作品だからこそ、起こりえた事のように思われる。
これと全く同じ装飾で、同じ変形皿、同じ銘の作品が、オランダのフローニンゲン博物館（Groningen Museum）に所蔵されている。
