Vauxhall (1751-1764) back
Milk Jug with flower decoration (1756-1758)
Hight/ 9.0 cm
Mark : No mark
Seal : ‘ ECC Exhibition 2007 ’
ツバメの嘴の様な注ぎ口と、ウースターや、リヴァプール窯でよく見られる耳型のハンドル。上縁には金彩が施され、しっかりとしたタッチで花絵が描かれている。
素地は軟質で釉薬が緑色がかっており、ウースター窯のようなステアタイト磁器の特徴が見られるが、やはりウースター窯やカフレー窯とは風合いが違う。
1750年代の磁器の装飾は、セント・ジェイムズ社(St. James)にしろダービー窯(Derby)にしろ、中国磁器にしろ、同じ様な花の、しかもヨーロッパスタイルの絵付け装飾が見られ、それらはロンドン絵付け工房によるものと考えられる。
ヴォウクソール窯でも、染付けや東洋風のモチーフ、または銅版画からの転写に後で色を置く様な装飾は自社装飾で行われたが、多くの花絵の多色装飾がロンドンの外部絵付け工房で行われている。
したがってこの作品の様な多色の花絵で、輪郭線も見当たらないモノは、ロンドンの絵付け工房によるモノと思われる。また上縁の金彩もロンドン装飾の特徴である。
この作品の高台内には、ECC(English Ceramic Circle)のシールが貼られているが、2007年のECCの展覧会「Ceramics of Vauxhall 18th century pottery and Porcelain」で出品されたモノである。
この展覧会のカタログでは、この作品が有名なロンドンのジャイルズ工房(James Giles Atelier)の装飾の可能性があるとは、記載されていない。
しかしステフェン・ハンスコウム(Stephan Hanscombe)が『The Early James Giles and his Contemporary London decorators 』で指摘している、ジャイルズ工房絵付けのTypeB の花絵に似ているところもある。