この作品は、四季の寓意のシリーズの「冬」のフィギュアである。
カポディモンテ窯の原型師主任であったジウゼッペ・グリッチ(Giuseppe Gricci)の原型から、ブエンレティーロ窯で製作したものと思われる。
彩色からカポディモンテ窯とは考えにくく、右に居るアヒルは、後から付け加えられた可能性もある。
ジウゼッペ・グリッチの作品は、通常の人物像では身長に対して極端に顔が小さく造られるが、この作品のような天使の場合は、顔の造りは大きくなる。典型的な顔の表情からも、この彫像が彼のモデルであることを物語っている。
また下部のベースは、カポディモンテに特徴的なロックワーク(Rockwork)でしっかりと造られ、最下部の側面は無釉の部分が認められる。これは本焼きの前に釉薬を拭き取るこの窯独特の特徴でもある。
この彫像は横から見ると、一見後ろに倒れそうに見えるが、実際には非常に安定している。ベースの重さが微妙なバランスをとって、後ろに倒れるのを防いでおり、この事からも制作者の高度な科学的な知識を認識させられる。
このシリーズに共通して、この彫像でも窯印は入れられていない。