この作品は、四季のアレゴリーのシリーズ『夏』をテーマにしたフィギュアである。
フランスの農民が、鎌を持って刈り取った麦を左脇に抱えている。
首から十字架を掛けており、敬虔なカトリック教徒であることを物語っている。
草地を思わせる緑色のマウンドに、裸足で佇んでいる。
ドレープの柔らかさと優しい彩色が、この作品を上品なものにしている。
台座はシンプルで、ロココ時代の特徴を既に失っている。
窯印は、台座の背後に釉下に青で F と入れられている。
 
この作品の原型師、ジャン・ジャック・デゾッシュ(Jean Jaques Desoches)(1769−1774)は、原型師であり顔料のアルカニストであるジモン・ファイルナー(Simon Feilner)のあとを次いで、1769年に原型師主任に就任した。
彼はフランス人で、パリの王立絵画・彫刻アカデミーで訓練を積んだが、このアカデミーはセーブル窯と密接な関係に有り、従ってデゾッシュは、磁器の原型造りに関して、この時点で既に精通していた(ミノー(P.P.Minnot)の元で学んだ)。
彼は就任後、約45の(集団)彫像を制作したが、ロココ時代から新古典主義への移行期である1770年代の特徴をよく反映している。また新古典主義風の神話や英雄(シーザーやプトレマイオスなど)をモチーフにした、ビスクイット(無釉磁器)の胸像も多数制作した。
 
このフュルステンバーク窯の最初の原型師は、アントン・カール・ルプラウ(Anton Karl Luplau)(1765-1774)なのであるが、彼は 成形師に転向した後、独立原型師になるが、結局1774年にこの窯を去り、1776年にコペンハーゲン窯の原型師主任兼アルカニストに就任し、1795年に亡くなるまでコペンハーゲン窯で働いた。
1790年より制作された有名なフローラ・ダニカ・サーヴィス(Flora Danica Service)の基本的なデザインは、彼が考案したものである。
 
 
 
Referenz
 
Die Porzellanmanufaktur Früstenberg  Band 1, Band2         Unter Mitarbeit von Thomas Krueger
Dictionary of European Porcelain                                               by Ludwig Danckert
         
 
Fürstenberg(1747-heute)
 
um 1769-1770
 
Figurine / ‘ Sommer ‘  aus der Serie der Jahreszeiten  
  『夏』四季のシリーズ
                    als Franzosishe Bauern
             フランスの農民から
Modelliert von Jean Jaques Desoches
  原型師:ジャン・ジャック・デゾッシュ
 
Höhe : 18.0 cm           Marke: F unterglasur blau