色絵蝶牡丹文輪花皿(1680-1700年/天和ー元禄年間)
直径:18.2cm、 銘:N=27 ロ(Japanese Palace inventory number)
下南河原山、窯ノ辻窯?柿右衛門窯?
五葉の輪花に濁し手に、蝶と牡丹を対照的に配した絵付けは上品である。
裏も文様はシンプルな唐草文に一つおきに鳥が止まっている。
銘はないが目跡が4箇所ある。ただ表の青は上絵であるが、裏の青は染付けで、厳密には濁し手ではないかもしれない。
更に『N-27 ロ』の刻印が刻まれている。ヨハネウムマーク(Johanneum mark)と呼ばれ、この刻印はザクセン選帝侯アウグスト強王のコレクションに入れられたマークである。収蔵品を分類整理し、目録を制作する為に刻まれたモノである。 ガラスカッターで釉薬の上から刻み、黒色で塗られた。
第1回目の目録制作は1721年に行われ、5巻で構成されていた。
収蔵品は1733年にアウグスト強王自身が亡くなると、未完成だった日本宮殿に収められた。その後コレクションが追加され、1770年から1779年の間に第2回目の目録制作が行われた。この作品は製作年代からも第1回に記録されたモノと思われる。
ヨハネウムとは、ドレスデンの建物の名称で、1875年から1876年にかけて日本宮殿からコレクションがこの建物に移された。
この作品はアーンホルト(Arnhold)コレクションのオークションに出品されたモノである。