James Giles Atelier (1743-1777)
Plate of the Worcester Porcelain (around1770)
Diameter/ 22.5 cm
Mark : No Mark
中央に波間に飛び跳ねる鯉が3尾描かれ、その下に青海波、上には琳派を思わせるような流れる雲か、水の流れを表現した装飾が見られ、周囲には花絵と、典型的な古伊万里様式の装飾が施されている。
このお皿は、古伊万里様式の作品を写したものである。
出光美術館のコレクションにこれとそっくりのお皿が存在するが、この様な装飾は
「色絵荒磯文皿」と呼ばれている。
この作品は、古伊万里ではなく、高台周囲の釉薬の途切れや素地から、ウースター磁器と考えられる。
出光美術館は、本歌の古伊万里と、それを写したウースター製の作品の両方を所持しているが、両者とも青の装飾は釉下彩で、その上に金彩が施されている。
しかしこの作品では、実は青の装飾は釉薬上に施されている。
また鯉の数も、出光コレクションの二つのお皿では4尾描かれており、この作品より1尾多い。
形状もこの作品は輪花になっており、出光のものがシンプルなエッジになっているのとは異なっている。
このお皿は、実はジャイルズ工房が白磁のウースター磁器に、「色絵荒磯文」の装飾を施したものと考えられる。
ジャイルズ工房ではウースターの染付け素地(まだ上絵、金彩を施していないもの)で出来の悪いものを買い受けて、工房で装飾して販売していた。
しかしこの装飾に使われる染付け素地(上記)をウースターより購入出来なかった為に、釉下の青の部分を上絵で装飾したものと考えられる。
この作品はジャイルズ工房の研究家であるStephan Hanscombe 氏のコレクションの一つで、ご子息がディーラーを通じて売却されたものである。