Sevres(1756-Present) back
Circa1766-1773
Buiscuit Figurine ‘La Vache’ Pâte : Porcelaine tendre
ビスクの小彫像「牛」 素地 軟質磁器
Modeleur : Étienne-Maurice Falconet(1759)
原型師:エティエンヌーモーリス・ファルコネ
Hauteur : 15.5 cm Largeur : 23.0cm
高さ 幅
Marques : ‘B’ en creux pour Bachelier
マーク バシュリエのBの刻印
大きな牛の傍らで乳を搾る女の子と反対側で餌を運ぶ男の子。
このフィギュアは、フランソワ・ブーシェ(François Boucher)によって描かれた素描を元にヴァラン(Varin)が銅版画を制作し、その銅版画を元に、ファルコネがフィギュアの原型を造ったものである。
製作時期は、牛の左足下に刻まれた、癖のある大文字の『β』の刻印より、ジャン・ジャック・バシュリエ(Jean-Jacques Bachelier)が彫刻部門の監督をしていた1766年から1773年の間と考えられる。
このフィギュアの元となった銅版画は、パリのローマ村のメジスリー埠頭(Quai de la Megisserie à la Ville de Rome)にあったジュラン社(À Paris chez Joullain)が出版したモノであるが、実は2枚の銅版画を一つのフィギュアで表現している。
1枚は『少年と牛』(La Vache avec le petit garçon)、もう1枚は『少女に乳を搾られる牛』(La Vache traite par une petit fille)である。
2次元の銅版画を3次元の彫像に、更に二つのイメージを一つの像に表したファルコネの素晴らしい作品である。
またブーシェの銅版画を元に作られたこれらのフィギュアは、必ず左右が逆に制作されている。つまり銅版画の原版と同じ向きになっている。
しかし銅版画の原版を、原型の制作には使えないと考えられる為、恐らく銅版画の下に紙や布の様なものを引き、針で輪郭にそって穴を開けて行きます。
下の素材に、絵の輪郭を与え、それを上から絵の具で描いてそれを彫刻する石材に被せますと、銅版画とは、左右逆の原型が出来上がります。
ストラスブール窯のアノン親子は、これと同じ原理で、ポンジフ(Ponsif)という布を銅版画の下に敷き、これをお皿等の曲面に合わせて上に被せて、大まかな構図を決めます。これによって美しい銅版画の花絵を、完璧に写し取ったわけです。
この牛は「ユエ」(Huet)と呼ばれているが、当時有名な画家であるジャン・バプティスト・ユエ(Jea-Baptiste Huet)との関係は定かではない。